7th HopeのBlog〜五線紙のすみっこ〜

おもにボカロ曲・DTMの制作に関することなど

M/S処理その前に ~自作曲をリメイクしてみて感じたこと

 

はじめに

この記事は先日のこちらの記事↓の続編です

 

今回は特に上記記事の中でこのように↓書いた部分に関することをあれこれと

原曲版では音像が今ひとつだった、楽曲の骨格となるべきキックやベース、スネアなどをしっかり整えることを最重要課題として音色の選定・構成、EQなど全面的に見直しました

まだまだ改良の余地はあると思いますが改善できているのではないかと

スノードロップと明日への歌 2021 ver. - 7th HopeのBlog〜五線紙のすみっこ〜

 

リメイク版を聴いてくださった方から「クオリティ上がった」「スッキリ聴きやすくなった」「良くなった」などの感想を幾つか頂いていることもあり、感じたことをこの機会に覚え書きとしてまとめておこうというのが今回の趣旨です

DTMないし楽曲制作についての内容なので読む人によっては何のことかよく分からなかったり、逆にそんなこと知っとるわいと思われるかも知れないですが

知識は人によりけりでその辺は仕方のないことなのでご容赦ください

また間違いとかもっとこうしたほうがいいんじゃね?とかあればご指摘いただけると嬉しいです

 

物ごとには順序が

その昔、ユニークなネーミングで知られる小林製薬に「トイレその前に」という商品がありました

いわゆる気になるにおいを軽減するやつです

えっそれ「トイレその後に」では?と思った人! いえいえあったのです昔それとは違うやつが…ひょっとして思い違いじゃないだろうなと検索してみると確かにそれらしき情報がちらほら(ズバリな情報にはたどりつけませんでしたが)

まぁ何はともあれ物ごとは順序とか準備とか大切ですよね

 

ところでM/S処理

さて今回のタイトルにあるM/S処理

ある程度、楽曲制作やミキシングの経験がある人にとってはあらためて説明するまでもないことかもですが

ひと言で言うとL/Rのステレオ音源をMid(中央)成分とSide(両サイド)成分とに分けてEQなどの処理を行うこと

2mix後のマスタートラックに対して使う形が典型的ですがmix前の各トラックに適用することもできます

ただし

それだけで一気に楽曲のクオリティを上げてくれる魔法のようなものってわけではないです (そもそもじゅうぶん使いこなせてもいない)

 

先に結論

わりと長くなりそうなので先に今回の結論をまとめます:

  • M/S処理は音の重心というか骨格を安定させるのに有効
  • ただし前提として音が適切に配置されていること(高低、空間軸、時間軸...) 
  • 空間系エフェクトの利用はほどほどに

えっそんなこと?とか お前それどんだけできとんねん?とか聞こえてきそうですが😅

あとはちょっと別の観点&以前から思ってることとしてリファレンス音源というか、目標・参考とし比較する音源(曲)はあったほうがいい、てのもあります

 

CubaseにおけるM/S処理

今回のリメイクでM/S処理に関して実際にやったことはマスタートラックのM, SそれぞれにEQをかけただけです(ズコー)

私はCubaseで楽曲を制作していますが、もしあなたがCubaseユーザーならこのために特別な追加投資は必要ありません

付属EQのひとつであるFrequencyでM/S処理ができます(ver.9以降だったかな? あとPro以外の下位エディションにはついてないかも)

これひょっとして知らずに使ってる人いるんじゃないかと...なぜなら私が以前そうだったからです...えっそんな奴いない?(がーん)

 

さて気を取り直して 

 

Frequencyでは8つのパラメトリック帯域それぞれで

 ステレオ(=通常のL/R) または Mid/Side または Left/Right別々

に対してEQをかけることができます

初期状態でSTと表示されているところの◀︎▶︎をクリックするとモードが切り替わり、M/Sの場合はさらにすぐ下のタブでMid/Sideを切り替えます

 

あっところでM/S処理はべつにEQだけとは限りませんが他の処理については言及しません(M/S別々にコンプ…といった話も聞きますがいろいろ厄介なことが起きそうで自分としては立ち入る領域ではないかな、と思ったり)

 

実際にやったこと

今回Frequencyをどう設定したかというと至ってシンプルで↓こんな風

f:id:seventh_hope_1729:20210307114034p:plain


 Midは低域を補うために100Hz付近を少し持ち上げるとともに、ストリングス等のウワモノを浮き上がらせるために6KHz付近も少々ブーストしています

一方Sideは低域120Hz辺りから下をばっさりカットする一方、高域をシェルビングで持ち上げています

こうすることで曲の骨格となるキックやベースが安定するとともに、左右に広めに配置してあるパートをvoの邪魔になることなく適度に強調する

…といったあたりが狙い

実際のところ誰もが一聴して分かるほどガラッと変わるわけではないですが、自分で聴き比べて違いが分かる程度には効果がありました

 ちなみに左右に広く振ったパートは今回の場合おもにハイハット、アコギ2種(R側ガット弦、L側スティール弦)、あとはこまごましたパーカッション類などですね

  

ところでFrequencyはCubase11でFrequency2にグレードアップしたそうですが私はまだ11に上げてません💦(近々ver. upするつもり)

 

そうはいっても…

上記のようにM/S処理に関しては8バンドを駆使してきめ細かく設定…てな感じでは全然ないです

しかしマスタートラックに対してそんなに細かくアレコレするものではないんじゃないかな?とも思います…曲作り〜ミックスから自分でやる場合には(2mixが終わっててマスタリングだけって場合は別ですが)

 

これはわりと以前から思っていることなんですが

私ふくめアマチュアレベルの楽曲制作者がミックスやマスタリングの段階で解決しようとしがちな問題の半分くらいはもっと前段階の作曲〜アレンジで解決すべきことのような気がします(場合によっては半分以上かもしれない)

 

たとえばマスタートラックで低域をブーストしようにもその成分が絶対的に足りてなければ持ち上げようがないわけで、そういったことは各トラックの音作りやミックスのバランスで解決すべきだし(そういえば一部のトラックには適宜サチュレーターで倍音を補う、ということもやってます)

 

あとありがちな話として

vocalの他いろんなパートが中域に集まってごちゃっとなった、いわゆるダンゴ状態(初心者のうちは素朴に作るとたいていこうなりがち)の場合は、EQなどミックスでどうこうする以前にまずvo.を邪魔しないように各パートの音域や演奏内容自体から見直すべき(これも必ずしも簡単でなくて素朴にvo.の音域を避けると中低域がスカスカになったりするのでボイシングとか大事ですね)

 

というわけで

悩んだ時はこれもっと前段階で解決するべきなんじゃない?と考え直すこともけっこう重要かなぁと…あらためて私が言うようなことでもないですが

 

空間系エフェクトはほどほどに

これはミックス段階で…って話の一部でもあるのですが

 私はリバーブの使い方がいまだ十分に理解できておらず…😅にも関わらずいわゆる「奥行き」とか「立体感」とかを出そうとしてわりと派手に使ってしまいがちだったのですが、最近は違うのかなと思ってなるべく控えるようにしています

あとディレイに関してはバンニングディレイってあるじゃないですかディレイ音があっちこっち動くやつ…けっこう無造作に使ってたんですがこれも適材適所かなと

 

まぁパンニングディレイは今回も少々使ってはいるのですが、Aメロ〜Bメロあたりの比較的オケが薄めの部分だけです

「雪どけの帰り道、柔らかな日差しにきらめく君」といった歌詞があるのですがそういった情景を表現するために細かいパートをいろいろ散りばめて演出しています

音数が少なめな部分であれば音の配置も整理しやすいですがサビのようにオケが厚くなるとそうもいきません

ディレイ音が飛んだ先、その音がおさまるスペース空いてますか?ってことですね要は

 

原曲版に比べてスッキリとしたのは、直接的にはM/S処理よりも空間系エフェクトの使い方による部分が大きいと思います原曲版をつくった当時はこの辺かなり適当だったので…最近つくった曲ではそこまで酷くない(と思いたい)ですが 

 

 さいごに

といった感じで

以前つくったものをリメイクすることで見えてくる部分もあるものだなぁと思った次第です

この他ちょっと別の話として、できるだけいろんな再生環境で聴いて確かめてみるとか、目標にする音源を聴いて参考にすべきとか…ってのも皆さんやってるでしょうけれど日々感じてます

 

以上が今回のリメイクを通してミックス&マスタリングに関して思ったことでした

後日、気が向いたら別側面のことについても書くかもしれないです

ここまで読んでいただきありがとうございました