はじめに
久しぶりの更新となってしまいましたが
先日投稿した「クラウドナインの高度 〜silver lining〜」という楽曲の制作に関することを何回かに分けて書いていきます
今回はおもに制作の経緯について
楽曲リンク
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ピアプロ(楽曲&歌詞)
この楽曲について
各投稿サイトにも記載のとおりこの曲は2月にリメイク版を投稿した「スノードロップと明日への歌」を起点とする四部作の最終章となる楽曲です
四部作の構成は下記のとおり:
- スノードロップと明日への歌 2016年12月発表、2021年2月リメイク版発表
- イニシャルMの残像 2017年9月発表
- タルト・タタンにさよなら 2017年6月発表
- クラウドナインの高度 〜silver lining〜 2021年7月発表(今作)
1〜3曲目までに比べるとこの最終章は発表までに随分と間があいてしまいました
4曲とも作詞・作曲・アレンジなど音関係はすべて私ひとりで制作していますが今回はイラストをitsme(いつみ)さんに担当していただきました
なお「スノードロップと明日への歌」のリメイク版についてはこちらの記事で紹介しています
制作の経緯
あれは3年前
2018年の夏頃つまり今から3年前「クロワッサンの想い出」という楽曲で初めていつみさんにイラストを描いていただいたことがありました
そして確かその頃(あるいはもう少し以前だったかも...)当時すでに発表済みだった「タルト・タタンにさよなら」「イニシャルMの残像」などの曲について、いつみさんが感想を聞かせてくださったことがありました、TwitterのDMにて
その際「イニシャルMの残像」という曲の歌詞に「天使の梯子」という言葉が出てくるのですが、そのつながりからいつみさんが以下のように語ってくださいました:
雲に関係する表現には silver lining というのもありますね
Every cloud has a sliver lining 〜どんな雲も銀色に輝く縁取り(もしくは裏地)がある〜 つまり、どんなに厚い雲に覆われていても雲の向こう側は晴れ渡っているように、角度を変えれば違った見え方になるという
それを聞いて英語らしい素敵な表現だなと思うとともに、このsilver liningという表現を使ってもう1曲つくって四部作として完成させよう!と決意したのでした(そしていつみさんにもそう伝えた...ように記憶しています、たしか)
ちなみに「天使の梯子」というのは雲の切れ目から光の筋が降り注いで神々しく見える気象現象のことで英語では Jacob's ladder と呼ばれます
これは私が以前たまたま撮ったスナップショットですが、たしかに雲の縁や裏側は明るく輝いていると思えます
もうひとつのキーワード
ところで silver lining と並んでもうひとつこの曲のキーワードであり曲名にも含まれているクラウドナイン(cloud nine)という言葉、こちらはいつみさんに silver liningというアイデアを頂く前からぼんやりと構想の中にありました
ちなみにcloud nineという言葉は本来は「天にも昇る気持ち」「この上もない幸せ」といった意味を表し " I'm on cloud nine" のように使われます
ちなみに私が十数年来、愛してやまないPerfumeの初期の作品に Seventh Heaven という名曲がありますがこの seventh heaven という表現もほぼ同じ意味の言葉で、これはキリスト教的世界観では天国は7階層になっていてその最上位というのが由来
一方cloud nine というのは元はといえば、雲は気象学上9区分ありその中でも最も高い高度に位置する積乱雲のことを9番目の雲 = cloud nine と呼ぶのですが、いつしか比喩的に seventh heaven とほぼ同じ意味で使われるようになった、ということのようです
と、まぁこれはちょっと脱線
つながるイメージ
四部作の最終章を作るにあたってまず考えたのは、疎遠になってしまった二人すなわち「僕」と「君」とが「再会」するシチュエーションとして何がふさわしいか?という点でした
silver lining と cloud nine という2つのキーワードから漠然と「雲の上」をイメージしたものの、実際に雲の上で再会というのはちょっと非現実的です
そこでたどり着いたのは
雲の上を航行中の飛行機の機内プログラムで、歌手として活躍する「君」のMVが流れてきて思いがけず「再会」する
という形、これが今回の曲の冒頭シーンです
見覚えのある面影に目を奪われた
銀色の雲海の上のプログラム
ちなみに第3章の「タルト・タタンにさよなら」では、海外で過ごした「僕」が失意の末に日本へ帰国することになり現地で親しくなった女の子と空港で別れる、という場面を描きましたが、上記はこのとき搭乗した帰国便の機内という設定
というわけでここでは「cloud nine = 最高の幸せ」という慣用的な意味よりはむしろ文字どおり「雲の上」という意味合いが強いのですが
もっとも曲の終盤では「いつかふたりが生まれ変わってまためぐり逢う場所=クラウドナイン」として、ふたりをつなぐ絆の象徴ないしは心の拠り所と位置付けています
ともあれ silver lining と cloud nine という雲に関連する2つのキーワードが揃ったところで四部作の完結編となる歌詞の骨格がおぼろげながら見えてきました
しかし歌詞としてまとめ上げるにはもうひとつイメージが固まらず、実際に制作に着手したのは2020年の夏頃になってしまったのですが、この点については別記事であらためて書こうと思います
コラボ依頼
2020年の秋、曲がだいたい形になってきたところでどんな形で公開しようかと考え始め
silver lining というアイデアを与えてくださったいつみさんに絵を描いていただければ!
と思い依頼のDMを送りました、かなり先まで制作予定が詰まっていることは伺っていたので、半年くらい先でも構いませんので...といった感じで
そして制作中の曲も聴いていただき、引き受けていただきました、これが2020年の11月末〜12月の頃
ちなみに「半年くらい先でも...」というのは、この曲を発表する前に「スノードロップと明日への歌」をリメイクする予定だったためです
そして今年の2月に「スノードロップ〜」のリメイク版を投稿した後、3月末頃にイラストについて具体的なイメージをいつみさんにお伝えしたところ早くも3日後くらいにラフ画を送っていただきました
この時点ですでに「雲の裏側は銀に輝いてる」というイメージにぴったりな光溢れる感じが素晴らしいものでした
その後さらに、私のふわっとした注文にもあれこれ応えていただき、最終的に5月中旬頃に完成版を納入いただきました
そして完成!
その後6月中旬頃までは私が動画制作のための時間をなかなか確保できなかったこともあり、最終的に動画を完成し投稿できたのは7月22日となりました
3年以上という長期間に渡ってあたためてきた構想をこうして形にすることができ、silver lining というアイデアを与えてくださった上にイラストを引き受けてくださったいつみさんには大変感謝しています
今後は、スノードロップ四部作をミニアルバムとしてなんらかの形で発表できればと考えています
おわりに
今回は「クラウドナインの高度 〜silver lining〜」という楽曲の制作の経緯について書きました
とっても長くなってしまいましたがここまでお付き合いいただきありがとうございます
歌詞の内容や四部作の他の楽曲とのつながり、あるいはサウンド面など曲自体に関するお話は別記事に書く予定です
追記
絵を描いてくださったitsme(いつみ)さんがこの楽曲に関するブログ記事を投稿されました(2021-08-16)
ぜひ是非あわせて読んでいただければと思います