7th HopeのBlog〜五線紙のすみっこ〜

おもにボカロ曲・DTMの制作に関することなど

素晴らしきハーフタイムシャッフルの世界(帷子ノ辻で乗り換えて その3)

 

はじめに

この記事では、先日投稿した「帷子ノ辻で乗り換えて」という曲のビート(リズム)に関して記します
記事の後半ではDTMにおけるシャッフルビートの考え方についての私見も少々

 

なお「帷子ノ辻で乗り換えて」については先日、歌詞の背景に関して以下2つの記事をupしています
今回は直接的に続編というわけではないですがこれらも見ていただければ

 

7th-hope.hatenablog.com

 

7th-hope.hatenablog.com

 

ハーフタイムシャッフルと普通の(?)シャッフル

帷子ノ辻で乗り換えて」という曲はハーフタイムシャッフルのリズムなのですが
最初にハーフタイムシャッフルって何?ということとそれ以前に普通の(?)シャッフルについて

簡単に言えばシャッフルとは「跳ねるリズム」のこと

そして普通のシャッフルは8分音符が跳ねるリズム

対してハーフタイムシャッフルは16分音符が跳ねるリズム

です

 

代表例

まず先に普通のシャッフルの例を挙げると
いわゆるモータウンサウンドの代表曲であるシュープリームスの「恋はあせらず」(You Can't Hurry Love: 1966)とかビートルズのデビュー曲 Love Me Do (1961)とかあるいはシャッフルビートのピアノバラードであるカーペンターズの「遙かなる影」(Close to You; 1970)とか…

日本のポップスだと嵐の「Happiness」(2007), いきものがかり「キミがいる」(2010), aiko「桜の時」(2000), 桑田佳祐「悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)」(1987)とか…キリがないのでこれくらいにしておきますが

 

一方ハーフタイムシャッフルの曲というと
代表例としてよく挙げられるTOTOの「ロザーナ」(1982)はじめ, ジャミロクワイのVirtual Insanity (1996), オアシスのDon't Look Back in Anger (1996), マルーン5Sunday Morning (2005)などなど…

J-POP/邦ロックでは宇多田ヒカル「Automatic」(1998), スピッツの「チェリー」(1996)「ロビンソン」(1995), 椎名林檎「本能」(1999), 「丸の内サディスティック」(同), GReeeeN「キセキ」(2008), あいみょんマリーゴールド」(2018), King Gnu「白日」(2019)…

 

とまぁどちらも挙げればいくらでも出てくるのですが

普通のシャッフルの曲は一聴して跳ねてるとわかるのに対して
ハーフタイムシャッフルの場合はわかりやすいのもある一方で中にはあ〜よく聴けば跳ねてるかな?という感じのもあります

これは16分音符が跳ねる以上必然的にリズムが細かくなるために、テンポにもよりますが100%完全には跳ねず「シャッフル気味」(70%くらいとか50%くらいとか)となっている曲が多いため

上に挙げた中だと特に「ロビンソン」は112BPMくらいの比較的アップテンポということもあり若干跳ねてるかな〜レベルなので「チェリー」と違ってハーフタイムシャッフルの例として挙げられることはあまりないようです

どれくらいの跳ね具合が心地よいかはテンポだけでなくアレンジや編成にも依存しケースバイケース、千差万別といったところですが、ハーフタイムシャッフルの曲は上記の理由から90〜100BPMくらいのミディアムテンポでゆったりしたノリの曲が多い傾向があります

なおシャッフルしてるかどうかわかりにくい場合は再生速度を落とすとわかりやすくなります(YouTubeなら0.75倍にする等)

 

私の曲の場合

さて私7th Hopeの曲の場合
先日投稿した「帷子ノ辻で乗り換えて」がハーフタイムシャッフルではあるのですがテンポが118BPMとハーフタイムシャッフルとしては比較的速めということもあり一聴して跳ねてる印象はあまり感じないと思います(ちなみに後で説明しますがシャッフル度合いは50%)

でもこの曲の場合はこれくらいが心地よいというか自然…私がそのように判断したのですが(もとより制作の初期段階からそのように作っていました)

ちなみに私の楽曲だと以前紹介した「スノードロップと明日への歌」「クラウドナインの高度〜silver lining〜」の2曲がともに93BPMと比較的ゆったりめのハーフタイムシャッフルとなっています(この2曲は4部作の序章と終章で対になっているためビート感も合わせてある)

 

DTMにおけるハーフタイムシャッフル

人が演奏する場合にはハーフタイムシャッフルであれ通常のシャッフルであれその楽曲にとって心地よいと思われる跳ね具合で感覚的に(かつ実際には計算した上で)演奏するわけですが、DTMの場合には演奏をMIDIデータとして取り込んで修正していく場合でも最初から手入力で打ち込む場合でも跳ね具合を制作者がコントロールする必要があります

Cubaseの例

こちらのスクリーンショットは「帷子ノ辻で乗り換えて」の最初のAメロ直後の間奏部分(シンセストリングスのコンピング)ですが、よく見るとグリッド(縦線)の間隔が均等でないのがわかります
細い縦線が16分音符の位置を表しますが16分のオモテ拍とウラ拍の長さが同じではないからです

 

 

私が使用しているDAWCubaseなのですが、Cubaseの場合1拍(=4分音符1個)を480tickで表現するためシャッフルしない場合は16分音符1個がオモテ拍・ウラ拍とも120tickとなります(このようにまったく跳ねないビートをイーブン(even)と呼びます)
一方、100%跳ねる場合はオモテ拍とウラ拍の長さが2:1すなわち 160tick:80tickとなります

そしてこのちょうど中間、オモテ拍:ウラ拍=140tick:100tickとなる場合を50%シャッフルと呼びます(60%とか75%とかも同様に計算できます)

Cubaseではこの設定をクオンタイズパネルで行います([編集]メニュー→[クオンタイズパネル])
「グリッド」でシャッフルの単位を指定し(ハーフタイムシャッフルの場合は16分音符)「スウィング」で跳ね具合を指定して保存しておけば編集画面からいつでも呼び出すことができ、これによってグリッドの間隔が変わります

 

 

もちろんシャッフルを50%に設定しても75%に設定してもすべての演奏をこれにピッタリ合わせないといけないことはなく、あくまでその楽曲における跳ね具合の目安です
パートによって、あるいは他のパートとの兼ね合いによってベストなタイミングが設定したグリッドのとおりでないことはあり得ます…要はイーブンの場合と同じ

 

シャッフル度合いを意識すべき理由

ここからは私の個人的見解なのですが

DAWを使用して(すなわちDTMで)打ち込み主体で楽曲を制作する場合は最適なシャッフル度合いを意識したほうが良いと思います…高速ビートの激しい楽曲しか作らないなら別ですが、そうでなくミディアムテンポの楽曲を制作することがあるならば

 

とくにハーフタイムシャッフルの場合

シャッフルする(100%)  or  しない(0%すなわちイーブン)の2択ではなく

最適な跳ね具合はたいていの場合その中間のどこか(50%とか70%とか80%とか...)にあるためです

ハーフタイムシャッフルの場合90BPMくらいの比較的ゆったりしたテンポであっても、100%シャッフルにしてしまうとどことなくセカセカした雰囲気になって人が心地よく感じるノリとはなんか違う…ということが往々にしてあります

逆に16ビートのミディアムテンポの曲をイーブンで作ってみたけどなんかしっくりこないということもあるかもしれません

したがってイメージしているビート感がイーブンなのかそれともシャッフルなのか、そしてシャフルであればどの程度の跳ね具合がベストなのか…といったことまで意識することが望ましいです

…といってもきっちり何%がベスト!と決められるものでもなく、大雑把に言ってしまえば50%〜70%くらいがいい感じであることが多いです
要は100% or 0%だけが最適解ではないよって話
譜面ではイーブン(=普通の16分音符)か100%シャッフル(=16分三連)しか表せないですが実際にはその中間もあるわけです

 

おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございます
帷子ノ辻で乗り換えて」という楽曲に関連してハーフタイムシャッフルというリズムに関するお話でした

 

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