7th HopeのBlog〜五線紙のすみっこ〜

おもにボカロ曲・DTMの制作に関することなど

ずっと頭の片隅にあった響き(千の冬、千の声)

 

はじめに

今回は先日投稿した「千の冬、千の声」という曲の制作の背景について
特に、この曲の中で使われているとあるコード進行に関する小さなエピソード等を中心に記します

 

勝手に非公式イメージソング

SynthesizerVのボイスライブラリ花隈千冬は私が最初に導入したSynthesizerVのライブラリです
艶やかでちょっと大人っぽい歌声が特徴でありながら、意外と可愛い感じの歌唱もいい感じでとても気に入っていて、持っているSynthesizerVの中ではもっとも多用しているライブラリでもあります

この「千の冬、千の声」という曲はもともと2025年11月にニコニコ動画で開催された「無色透名祭3」の参加曲として制作したもので、今回はこれに動画をつけて本人名義で投稿したもの

制作期間は2025年8月末から9月後半頃でしたが「千の冬、千の声」という曲名は最初から(というか制作開始するよりかなり前から)決まっていて、「花隈千冬非公式イメージソング」を作ろうという動機が出発点でした

花隈千冬というボイスライブラリの特徴である、ちょっと陰のある儚い歌声から芯のある力強い歌声まで多彩な可能性を、千冬という名前から連想される「千の冬」というフレーズに絡めて表現することを目指し制作しました

幾千の冬の虚空から

無造作に切り取った日常が

それぞれの声 奏でる

不完全でも不器用でも

 

変拍子でも口ずさめる歌を

この曲はイントロ〜Aメロが四分の五拍子、Bメロ以降が四分の六拍子[*]となっています
変拍子の曲は一般には技巧的で「ん?何だこれは」というものが多く(それが特徴でもありますが)、それだけに気軽に口ずさめる歌という感じにはなりにくいように思いますが、この曲は四分の五という変拍子の部分も自然に口ずさめるようなものを目指しました

そのためイントロ〜Aメロの五拍子部分はピアノ主体でビート感を抑え、これに対しBメロ〜Cメロではビート感を強調する構成としています

[*]四分の三拍子と解釈しても差し支えないですが、6拍でひとかたまりということもあり作った本人は六拍子と捉えています

 

ずっと頭の片隅にあった響き

上の譜面はAメロ〜Bメロ前半までを抜き出したもの
AメロはB♭ minorキーでシンプルにマイナートニックから始まり最後にB♭sus4→B♭add9とピカルディ終止し、Bメロではそのまま同主長調のB♭ majorキーになります

このBメロの先頭、ルートが半音下降していく部分の進行をディグリー表記すると

Ⅰ/Ⅶ♭  Ⅵm7  Ⅳm6/Ⅵ♭  Ⅰ/V

となるのですが、これ私にとっては
ずーっと前から頭の片隅にあって、その期間があまりにも長過ぎてほとんど意識することすらなくなりかけていた響きでした

この進行が私の脳内の一角を占めるキッカケとなったのは平原綾香さんの「君といる時間の中で」のBメロ「どうか感じて〜」の部分です

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この曲がリリースされたのは2004年なので今から22年前、ただし初めて聞いたのはリリース当時ではなく、2008年にリリースされたベストアルバム「Jupiter」の収録曲として、と記憶していますがそれでも18年前のこと

派手さはなく穏やかな曲調ですが「Ⅰ/Ⅶ♭」というオンコード(それもⅠ/Ⅲのような転回形でもない)から始まるBメロ部分が印象的で、それ以来この進行が私の頭のすみっこに居座り続けていました

 

とはいえ年月の経過とともに近年では思い出すこともなくなりかけていたのですが

 

2025年の初め頃 NiziUの「AlwayS」という曲に出会いました[*]

 

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この曲を聴いて即座に記憶が蘇ったのです

「あ!あれと同じ‼︎」

この曲の、やはりBメロ「奇跡のような必然  偶然の生命〜」の部分が「Ⅰ/Ⅶ♭」から始まり半音下降していく(ほぼ)同じ進行でした[†]

…といった経緯を経て、「千の冬、千の声」を制作する過程でこの進行を使ったBメロが生まれました

 

そんなわけで
ごく個人的なエピソード、重箱の隅を突つくような小ネタでしたが楽曲制作の背景にこんなことがあった、というお話でした

[*]この曲を制作・提供したのはMrs. GREEN APPLEの大森元貴さんで、THE FIRST TAKEでupされているコラボ歌唱版も素晴らしいです→  NiziU - AlwayS with Motoki Ohmori (from Mrs. GREEN APPLE) / THE FIRST TAKE 

[†]細かいこというと「AlwayS」では2つ目がⅥm7なのに対して「君といる〜」ではⅣ/Ⅵなので少し違います

 

おわりに

「千の冬、千の声」という楽曲の制作の背景について記しました
今回はとりわけ個人的な小さなエピソードがメインとなりましたが、楽曲制作自体が多分にパーソナルな作業であり、その背後にはさまざまな個人的な体験の積み重ねがあるものだとも思います
歌詞であれ、メロディーやアレンジであれ、いろいろな引き出しに材料をストックしておけばいつか活用できることもあります

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

 

楽曲リンク

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ニコニコ動画

 

歌詞

7th-hope.hatenablog.com

 

【歌詞】千の冬、千の声

この楽曲に関する記事はこちら:

7th-hope.hatenablog.com

 

千の冬、千の声 by 7th Hope

この瞬間を形に残したくて

密かにトリミングした世界を胸に抱く

 

重ねた旋律 言葉持てば

グルーヴと体温 放ち始める

ためらう理由 何ひとつなくて

ここから走り出す

 

幾千の冬の虚空から

無造作に切り取った日常が

それぞれの声 奏でる

不完全でも不器用でも

 

選ばなかった道からは

どんな景色が見えただろう?

別の私の瞳が映す色 思い描いてみる


この感情の居場所を見つけたくて

自ら選択したポイント 分岐点

 

乾いた世界のごく一部でも

肯定したくて歌い始めた

とどまる理由 何もないままに

ステップ踏み出した

 

幾千の冬の凍空に

柔らかな歌声  立ち昇り

それぞれの夢と願いが

共鳴し合う すべてが私

 

好きで選んだ道だから

行けるところまで行けばいい

そして問いかけてみる

昨日より強くなれたよねと

 

 

幾千の冬と 幾千の声を重ねたら

時も場所も超えて交差する

緩やかにカーブ描き

思い思いにビートを刻む

 

選ばなかった道からは

どんな景色が見えただろう?

別の私の瞳が映す色 思い描いてみる

転調しそうでしない作戦?(出航の歌 その2)

はじめに

今回の記事はこちらの記事の続編です

7th-hope.hatenablog.com

いろいろ忙しかったこともあり前回の記事から間が空いてしまいましたが今回は先月投稿した「出航の歌」という曲の構成やアレンジ等について

このビート感けっこう好き

私は曲を制作するときまず最初に大まかなテーマとともにテンポとビート感(つまり基本的なリズム)を決めます、歌詞でもメロでもコード進行でもなく

で、この「出航の歌」はウラ拍にアクセントを置いたシャッフルビートが基調
じつはけっこう好きなのですこのビート感、程よくポップでもありロック色もあり

このビートのルーツは「恋はあせらず」(オリジナルはシュープリームス、後にフィル・コリンズがカバー)等に代表されるモータウンサウンドで、「Diamonds」(プリンセス・プリンセス,1988)「キミがいる」(いきものがかり,2010)など日本でも多くのヒット曲に取り入れられてますがあえて私の好きな曲をひとつ挙げると

70~80年代に活躍したUKロックバンドThe Jamの 「Town Called Malice」(1977) という曲


なおこの曲のように16分音符が跳ねるシャッフルビートの場合、詳細は以前こちらの記事

素晴らしきハーフタイムシャッフルの世界(帷子ノ辻で乗り換えて その3) - 7th HopeのBlog〜五線紙のすみっこ〜

に書いたことがあるのですがオモテ拍とウラ拍の長さの比をきっちり2:1にはしません
今回もCubaseのクオンタイズパネルでシャッフル度合いを50%に設定しています

ただしこれはだいたいの目安であり場合によってはこのとおりでないほうが自然なケースもあって、具体的にはボーカルは基本50%よりもさらに緩く(=イーブンに近く)しています
あとドラムのフィルで16分連打する箇所もほぼイーブンにしています

これは特に明確なルールがあるわけではなく、人が自然に演奏するとどうなるか、とか聴いて心地よいと感じるのはどのあたりか、とかまぁそのあたりの匙加減です

ギターも入れないと

このビートならギターでリズムを刻みたい!ってことで左側にエレクトリックギター、右側にアコースティックギターを配置しています

エレクトリックギター音源は Impact Soundworks社のSHREDDAGE3 Stratus FREE版を使いました(ちゃんとした有料のギター音源持ってないので...
FREE版ではアーティキュレーションがごく一部しか使えないなど制約はありますが今回のようにコンピング主体ならSTRUMMINGモードで十分使えます
しかしリードも入れたいとなるとやはり有料版が欲しいので資金に余裕ができたら近いうち導入しようかなと思っています
(STRUMMINGならNIのKOMPLETEに含まれるElectric Sunburstも選択肢にはなるのですが、ボイシングやリズムパターンの自由度が限られるので私はほぼ使う機会がありません)

 

そしてアンシュミはAmplitube 5(これもFREE版)を使いました
Guitar Rigに比べプリセットを選ぶだけでもかなりそれっぽい音が出せるのでこちらも有料版導入を検討中です

なお右側のアコースティックギターはHALionSonicの中の R&B Nylon Gtrという音を使っています
専用ギター音源ではないのでピアノロール上でノートのタイミングを微妙にずらす等してストロークのDown&Upを再現する必要はありますが音自体はけっこういい感じなので過去曲でも多用しています
そしてアコギもアンシュミ通すことで程よくクリアかつオケに馴染む音になるのでこちらもAmplitube 5を使っています

転調しそうでしない作戦(だから何?

和声面に関しては特に凝ったことはしておらず、おおむねダイアトニックコードを主体としつつ適度にセカンダリードミナントや準固有和音で変化をつける程度、曲終わりまで一切、転調もしていませんが、あえてひとつ言及するならば、Cメロ(サビ)に進む直前のところで「転調しそうでしない」演出を入れています

 

 

譜面にしてみたところで全くどうってことない感じに見えるのですが、ピンク色の四角で囲んだところ
ここは直前のB♭7(=ドミナント7th)のままでも別に良いのですがあえて1,2拍目をC7(=Ⅵ7)とし、さらにエレピとシンセで16分駆け上がりフレーズを入れて響きを強調しています

このようにサビ前でⅤ7→Ⅵ7と進む流れはサビで+2(つまり1全音上に)転調するときに使われる常套手段で私の過去曲でも何度か使っていますが、有名曲で具体例を挙げるとたとえば「サヨナラの意味」(乃木坂46, 2016)「ここにはないもの」(同, 2022)等があります

対してこの曲ではⅤ7→Ⅵ7から転調せずⅠ(E♭add9)に進んでいます
特に深いこだわりがあって…というわけではなく単に
転調しない演出があってもいいんじゃない?
くらいの感覚ですが

そしてこの演出が自分で編み出したアイデアだと主張するつもりも全然なく、おそらく過去に何かの曲で耳にしたことがあって出てきた可能性が高いと思っています
ただその先例が何なのかが具体的に分からないので、もしも「この曲じゃない?」と思い当たれば教えていいただきたいです

なおピンクの四角で囲んだところの3,4拍めはブレイクなので「N.C」(=No Chord)と記載していますがボーカル以外まったく何も鳴っていないのではなくハープのアルペジオをうっすらと入れています
このアルペジオのボイシングをB♭7sus4として次のE♭add9に無理なく繋がるようにしています


おわりに

今回は「出航の歌」という楽曲の構成・アレンジ等に関する背景を記しました
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!


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歌詞

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【歌詞】出航の歌

この楽曲に関する記事はこちら:

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出航の歌 by 7th Hope

コンパスの針が指す南の空
雲の切れ間から ひと筋の光
錨を上げて 流れに漕ぎ出そう
旅立つ理由は 確かにあるんだ

諦めた夢や 見失ったもの
ひとつふたつ数えながら思い出す

出航は今 南風吹き抜け
涙 乾いたらそれが合図
さぁ 目指すのさ
水平線のはるか彼方を (その先まで)

逃げた先で 出会った僕たちだから
この景色 分かち合って
もう離さない つないだ手
波に揺られても 恐れずにいけるさ


海風が運ぶ潮の香りに乗って
見たことない場所 目指して進もう

決まったゴールや正解などない
長い旅になるかもしれないけれど

言葉になる前の感情を
旋律に込めて届けたくて
もう迷わない 昨日までの
退屈な自分から 踏み出した

夜には肩寄せ合い眠り
朝になれば澄んだ空を見上げよう
明日もまた

出航は今 南風吹き抜け
涙 乾いたらそれが合図
さぁ 目指すのさ
水平線のはるか彼方を (その先まで)

逃げた先で 出会った僕たちだから
この景色 分かち合って
もう離さない つないだ手
波に揺られても 恐れずにいけるさ

初音ミクの私的現在地(出航の歌 その1)

 

はじめに

今回の記事は先日投稿した「出航の歌」という曲について

先日、初音ミクの新バージョンV6がまもなく発売されることが発表され話題になりましたが

そのことと絡めつつ今回の曲制作を通して思ったことなどを書いていきます

またまたツインボーカル

今回の「出航の歌」はGUMI&ミクのデュエット曲です

以前にも書いたとおりここ1〜2年ほどデュエット曲を作るのが楽しくでその流れで今回も

 

ただ、実は当初の構想ではGUMI&ウナのペアだったのですが途中でGUMI&ミクに方針変更しました

 

初音ミクV6 Early Access版だと?

制作途中のCubaseプロジェクトファイルが残っていたので確認したところこの曲の制作に着手したのは昨年の末、暮れも押し迫った12月30日頃でした

 

そして正月休みが終わる1月5日頃には1コーラス分のメロとコード進行とドラム&ベースがだいたいできていました(最終形態と9割がた同じ)

ただしボーカルはGUMI 1トラックのみで歌詞は何も入ってない状態

 

これからアレンジしながら歌詞と歌割り考えていこうか…

 

そんなことを考えつつSONICWIREのサイトを眺めていたら

「初音ミクV6」 2026年上半期リリース予定
 無料のEarly Access版をご提供中です

あーそういえば少し前にそんな情報出てたなー
ていうか元もと去年発売予定だったのが延期になってたんだっけ…

 

…あ!💡

 

GUMI&ミクでいこう


そうするべきだ

 

ふとそう思ってGUMI&ミクのペアに方針変更したのでした

 

 

「新たな旅立ち」にふさわしく

その1月5日の時点では歌詞は入ってなかったものの「挫折を乗り越えて新たな旅に出る」というテーマのイメージやいくつかの断片的なフレーズはありました

 

であれば自分にとっての原点に立ち返ってGUMI&ミクのペアでいくべきだと

そして

ミクV6 Early Access版が利用できる今ならこれを使うべきだと

 

そう思ったのです

 

 

私が最初にボーカロイドを購入したのは2014年の春ごろ、初音ミクV3でした

そしてその数年後、2人目のライブラリとしてGUMI V4を導入しています

ただしさらに前の2012年頃、短期間GUMI(たぶんV2)の試用版を使っていたことがありました

 

そんなわけで私にとっては初音ミクとGUMIの2人こそが現在の創作活動の原点なのです


ちなみに

ミクV6 Early Access版というのは、開発中のミクV6(2025年12月時点のもの)を

初音ミクV2〜V4までの既存正規ユーザに対してインストールから39日間無料で利用できる

というもの(この記事を書いている2月下旬時点でまだ配布継続中)

 

さて本題のV6 Early Access版

そうしてGUMI&ミクに方針変更したものの、実際にミクV6 Early Access版をインストールしたのは1月下旬でした
2月後半のボカコレに向けて制作していましたが試用期間は39日間しかなく、完成前に試用期間が終わってしまったら困るのでアレンジを先に進めていたのです

 

 

率直な印象

V6 Early Access版をインストールして少し使ってみての第一印象は

あ〜VOCALOID 6だな

でした
私は音街ウナのV6を2023年夏の発売と同時に購入して使っていたので、同じVOCALOID 6ということである程度見当はついていました

つまり

  • ベタ打ちでもそこそこ自然(VOCALOID4以前と比べ)
  • 滑舌は悪くない
  • いわゆるボカロっぽさはキープ

とこんな感じ

私は元もと、初音ミク含むVOCALOIDを人間らしく歌わせることはあまり追求してこなかったのですが

V4までのVOCALOIDでは機械的な(時として不自然な)音程変化が見られたり、局所的にどうしても違う音に聞こえてしまったり…ということが多かれ少なかれ起こり、表現以前の問題としてそれらの不自然さを軽減するための調声が不可欠でした

そしてそのために様々な調声ノウハウ[*]がネット上に溢れ、また書籍として出版されたりもしていました
けれどもそれらのノウハウの多くはもはやあまり重要ではないようです

[*]たとえば発音を明瞭にするためにフレーズの先頭だけvelocityを下げる(=子音の長さを長めにする)等

エディタに慣れは必要かも

VOCALOID6でも、いわゆるしゃくりあげるような音程変化やビブラート、歌い出しに「タメ」を効かせる等といった、不自然さ軽減でなく「表現」としての調声を追求することはできます
エディタとして後発であるぶん、Piapro Studioに比べ音声波形を見ながらより直感的に編集できるよう工夫されています

ただ、Piapro Studioの開発元はクリプトン、VOCALOID6エディタはヤマハと開発母体自体が違うこともあり操作体系がけっこう違うのでPiapro Studioメインだった人はかなり戸惑うかもしれません

ちなみに私自身はヤマハからVOCALOID5がリリースされた2018年当初からVOCALOID5エディタを使っていて、その後さらに上述の音街ウナV6からVOCALOID6エディタを使っていたので操作の面での戸惑いはありませんでした[*]

[*]ただしどこにどんな機能があるかが分かりにくい等、エディタとして使いやすいかというと微妙…

 

ボカロはボカロ

近年の歌声合成界隈ではVOCALOIDよりもSynthesizerVがシェアを伸ばしつつあり(他にVoisona/CeVIO等もありますが)私自身もここ1〜2年ほどはSynthVを使うことが多くなっていました
そして今回の「出航の歌」でもGUMIはSynthVですし

しかし今回初音ミクV6 Early Access版を使ってみて


VOCALOIDにはVOCALOIDの良さがある


とあらためて思いました

それは決してボカロ黎明期〜全盛期へのノスタルジーとか、はたまた初音ミクというキャラクターへの愛だけには留まらず

たしかに今、合成音声で人間に近い歌唱を手軽に実現したいならVOCALOIDよりもSynthesizerVのほうがベターです(特にSynthesizerV2でエディタも大幅に進化しました)
VOCALOIDも元来、人間の歌唱に近づくことを目指していた(目指している)には違いないのですが、一方で人間とは異質なVOCALOIDならではのボーカル表現を確立しました

それは例えるならば、かつて電子楽器(シンセサイザー)が生楽器では表現できない電子音楽というジャンルを生み出したことに近いかもしれません

SynthVがVOCALOIDに取って代わるということはなく、より人間らしい歌唱ならSynthV, 合成音声ならではの個性や味を求めるならVOCALOID…と共存していくだろうと思います、少なくとも当分の間は

気になる製品版

ミクV3〜V4では Original, Soft, Solid, Dark, Sweet, Englishと6種類のライブラリが用意されており、私自身はおもに(というかほとんど)Darkをメインで使っていました


しかしEarly Access版では試用版ということもありOriginal1種類のみであり、Darkのような声で歌わせることはできませんでした

先日発表された情報では製品版では2種類のライブラリが収録され、従来の6種より幅広い表現が可能になる、と謳われています

私としては果たしてDarkの声質が表現可能なのか?が最も気になるポイントなのですが実際のところどうなのでしょう…?
こればっかりは4月の発売まで待つしかないですが


おわりに

今回は「出航の歌」という楽曲に関連してとくに初音ミクV6 Early Access版に関して感じたことを記しました
楽曲自体の構成や制作の背景についてはあらためて別の記事に書こうと思っています

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

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今回は千冬&モカでツインボーカル(八月の残照)

はじめに

今回は先日投稿した「八月の残照」という楽曲について

この曲のボーカルは花隈千冬・宮舞モカのデュエットという私にとって初の組み合わせです(というか宮舞モカに関しては私にとって今回が初披露)

またこの曲では私としては初めてインスト版も作成し、ボーカル版から数日遅れでYouTubeに投稿しました

この楽曲について

制作の背景

前作の「月の蒼、夢の続き」という曲で音街ウナ・GUMIのデュエットという異質な声のペアにトライしたところ楽しかったという話を以前、書きましたが(↓)

7th-hope.hatenablog.com

今回の花隈千冬宮舞モカのペアもまた声質の異なる2人の組み合わせです
前作で感じたさまざまな可能性が今回の制作におけるきっかけとなった、という面があります

2人(以上)のライブラリを組み合わせた曲の制作は、歌割りを考えたり、(ハモりを重ねず)ユニゾンするだけでも印象がガラッと変わったりするなどソロ曲にはない要素があり、ボーカルグループをブロデュースしているような楽しさがあると感じています

 

制作の過程

今年の3月下旬にSynthesizer V2(以降SV2)リリースと同時に宮舞モカV2がリリースされましたが、その少し3月8日にモカV1を(V2に無償バージョンアップできるということもあり)導入しました

その時点ですでにこの2人のペアで制作しようという構想があり数日後に制作開始
残っていた当時の制作データを振り返ってみたところ、3月16日には1コーラス分のメロができていました(今のと9割がた同じ)

ただ、その時はなんだかイマイチなクオリティで発表するレベルに到達しないのではと感じたのと忙しかったこともあり中断

その後は制作どころではない多忙な日々がしばらく続いたのですが、他の曲の構想など練りつつも7月末ごろなんとなく再開、〆切がないとなかなか進まない性分なので8月下旬のボカコレに間に合うよう完成させると自分で決め完成に至った
…という流れでした

 

ウラ話少々

実は制作に着手した時点では3月ということもあり卒業ソングを作ろうと考えていました
その1年前、2024年3月に「平行線クレプスキュール」という卒業ソングを投稿していますが(これは花隈千冬ソロ曲)それに続く第2弾の位置付けで

しかし日程的に3月中の完成が不可能となり、放置しつつもどうしたものかと考えていたのですが、7月末に再開する際

「歌詞の時期設定は夏、卒業ソングではなく卒業後しばらく経ってからの旧友との再会」

と変更して制作を進めました

というわけでこの曲自体は卒業ソングではないですが「平行線クレプスキュール」と同じ時系列上に位置する曲なので併せて聴いていただけると嬉しいです

リンク
【花隈千冬】平行線クレプスキュール【オリジナル曲】YouTube
【花隈千冬】平行線クレプスキュール【オリジナル曲】 ニコニコ動画

曲の構成・アレンジなど

アレンジ面

今回はとにかく声質が異なる2人のハーモニーを聴かせることを重要視し、編成やアレンジはシンプルに抑えました

オケのメインは過去曲でもよく使っているローズピアノで(音源はNIの SCARBEE MARK I)途中からガットギターのカッティング等が加わり、要所でベル系のシンセを使うなどしていますが、あまり多くのパートを重ねることはせず、ただし展開が平坦とならないよう適度に変化をつけ、空間的な余裕を残した雰囲気を目指しました

 

全体構成

ゆったりめのテンポ(102BPM)であり「1番→2番→ブリッジ→ラスサビ~」のようなオーソドックスな構成では尺が長く冗長になるおそれがあるため、

- 2番はAメロ無しでBメロから(&アレンジも変える)
- 2サビ先頭4小節のオケをベルシンセのみとしてブリッジを兼ねそのままエンディングへ

というコンパクトな構成としました

さらにBメロはアレンジだけでなく歌割りも1番モカメイン→2番千冬メインと変えていますが、このように歌割りで展開に変化をつけられるのはデュエット曲ならではです

また曲冒頭「木漏れ日と〜」の部分は千冬の低音域の良さを活かせるよう低めの音域で歌っています
通常、私は主メロの最低音はA3を目安としていますがこの部分の最低音はG3です[*]

[*]インスト版ではこのメロをバイオリンで演奏することまで見越してバイオリンの最低音(G線開放=G3)を下限とした、ということはないです
なおこの部分はサビ後半&エンディングの「ラーララー~」の部分とほぼ同じメロをオクターブ下げたものとなっています

 

おわりに

今回は「八月の残照」という曲の制作の背景や構成について記しました
ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございました

歌詞や調声などさらに詳細なことについて書きたくなったら別記事を書くかもしれません(が書かないかもしれません)

 

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【歌詞】八月の残照

この楽曲に関する記事はこちら:

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八月の残照 by 7th Hope

木漏れ日と 蝉しぐれ  汗ばむ匂い
あの夏を ふと思い出す

あきらめたこと  やり残したこと
すべて次への通過点と信じてきたけど

季節はあいまいに過ぎて
自分へと課したはずの哲学が追いつかなくなる

見慣れた上り坂 息切らせ駆けあがる
空が高く開けてきた 思い出す君の面影

この場所で  絆 もう一度 確かめたなら
その笑顔 その声 不意に縋りたくなってしまうけど

誰だって憧れて 迷って悩んで
どこかにある道しるべ 目指し始めてる

飲み込んだ言葉が 弾けて消えてゆく
手を離した風船は 点になり視界の彼方

聴き慣れた調べを 時計台が告げる
流した涙 忘れかけた頃にまたここで会おうよ