7th HopeのBlog〜五線紙のすみっこ〜

おもにボカロ曲・DTMの制作に関することなど

2年越しのリメイク&そして今年を振り返り(餞のロンド2024.ver)

はじめに

またしても少々更新をサボっていたのですが
先月投稿した「餞のロンド 2024ver.」という楽曲について暮れも押し迫ったこのタイミングで(今更ながら)触れつつ、あわせて2024年を振り返ってみます

「2024ver.」とあるとおりこの曲はリメイク版で、原曲はちょうど2年前の2022年12月31日に投稿しました
ただ後述のとおりどうしてもその年の内に…と年末ギリギリに投稿したこともありツメが甘いと自分でも感じていていつかリメイクしたいと思っていました

 

この楽曲について

いのちの重さ

私事ですが2022年の1月に父を亡くしまして、さらにこの年は翌2月に今もなお続くウクライナ戦争が勃発し、さらに当時はまだコロナ禍で命を落とす人も多く…そういったことから「いのちの重さ」について考えることがとても多く、それがこの曲を制作するきっかけとなりました

過ごした日々 重ねた記憶

生命潰えてなお 褪せない

記憶辿っては 失くしたものの重さに打ちひしがれ

夜更けにふと窓開け見上げる 虚空に面影を探した

 

「いのち」をテーマとする曲を構想するにあたって、ひとつ頭の中にイメージとしてあったのは竹内まりやさんが作詞した「いのちの歌」という楽曲でした
もともとNHK朝ドラの劇中歌として制作され茉奈佳奈が歌ってヒットした有名曲です(作曲はドラマ全体の音楽を担当した村松崇継さん)

www.youtube.com

ただ「世代を超えていのちをつないでいく」というテーマには共通性があるものの、曲展開やアレンジや歌詞などの面で直接的に参考にしたということではなく、むしろ特定のどこかが無意識に似てしまわないよう注意を払いました

 

「餞」というキーワード

この曲ではタイトルにも含まれている「餞(はなむけ)」という言葉が重要なキーワードとなっています

餞の歌を届けるよ

十二月の流星に添えて

泣けないほどつらく悲しくても

その餞が羅針盤になる

餞(はなむけ)とは旅立ちや門出のときに贈る言葉や品を意味しますが、旅立ちに際し馬の鼻を進むべき方角に向けた「鼻向け」が語源と言われています

関連して「羅針盤」という言葉も出てきますが、羅針盤のことをギリシャ語でPyxisと呼ぶことから(らしんばん座という星座の名前にもなっている)、この曲の英題を「Pyxis Rondo」としています

 

ところでこの「餞」というキーワードは何もないところからポッと出てきたのではなく、航空自衛隊の広報室を舞台とした有川浩さんの小説「空飛ぶ広報室」がヒントになっています
詳細は触れませんがこの物語の後半、第5章にこんな一節があります

「あれはお父さんの餞ですね」
…(中略)餞という言葉はこの出来事を最も的確に表現している。

とても印象的だったこのシーンがヒントとなってこの曲の歌詞が完成しました

 

楽曲の構成

この曲はいたってシンプルな編成でオケはほぼハープとストリングスのみからなり(+間奏とEDでベル系のメロ)、ドラムはおろか打楽器類は一切、使われていません

これは当初からできるだけシンプルな編成でいこうと、その中でアレンジで起伏を表現しようという構想で取り掛かったことによるものでこの点は2年前の原曲版・今回のリメイク版に共通です

ただ原曲版のときは、父が亡くなった年の内になんとしても完成させたいという極めて個人的な事情から大晦日の12月31日に滑り込みで投稿したこともあり、主としてアレンジ面の完成度が今ひとつと感じていました

また今年からSynthesizerVの花隈千冬を導入したのですが過去曲の中ではこの曲をいちばん歌わせてみたかったということもあって今回のリメイク版が誕生しました

 

メインvo.が初音ミク→花隈千冬に変わった他、リメイク版ではストリングスアレンジをかなり修正しています
とはいえ他の人が聴いてその差が伝わるかはわかりませんが…

なおストリングスパートの音源は主にNIのKompleteに含まれているSESSION STRINGS2を、また後半の短いバイオリンソロのみSPITFIREのSOLO VIOLINを使っていてこの点はリメイク版でも変わっていません

一方、ハープは原曲版ではSoundiron Elysium Harpのみ使っていたのをリメイク版ではCinematique InstrumentsのGrand Harpメインに変更しています(一部、Elysium Harpも併用)[*]

[*]実はこれらのオケ修正&変更は原曲を投稿した直後に行なっていて、2023年3月に配信リリースしたアルバム「カラフル・シンジケート」に収録したバージョンではvo.は初音ミクのままですがオケはほぼ今回のリメイク版と同じです

 

2024年振り返り

2024年も大詰めなので今年1年をざっくり振り返ってみます

今年はニコニコとYouTubeに5本の動画を投稿しました
といってもうち2曲はセルフカバーなので純粋な新作は3曲なのですが、忘れられたころに投稿しがちな私としてはこれでも活発に投稿できたほうかなと

  1. 星あかりのパヴァーヌ / 初音ミク 2024/01/19投稿
  2. 星あかりのパヴァーヌ Chifuyu-bossa remix / 花隈千冬 2024/02/24投稿
  3. 平行線クレプスキュール / 花隈千冬 2024/03/31投稿
  4. Silent Blue Rose / GUMI&花隈千冬 2024/09/01投稿
  5. 餞のロンド 2024 ver. / 花隈千冬 2024/11/22投稿

一見してわかるとおり今年はSynthesizerVの花隈千冬さんにとてもお世話になりました
とても気に入っているのでこれからもどんどん使っていくつもりですが、一方でボカロにはボカロの良さがあるとも思っているので表現の幅を狭めず併用していきないなと

来年もマイペースと言いながらもあまりペース落とさず活動していこうと思っています
最後までお読みいただきありがとうございました

 

楽曲リンク

Youtube

www.youtube.com

ニコニコ動画

www.nicovideo.jp

歌詞

7th-hope.hatenablog.com