AIの海のほとりで(星あかりのパヴァーヌ その1)
はじめに
長らく更新していなかったのですが久しぶりに
最近投稿した「星あかりのパヴァーヌ」という楽曲について書いていきます
この楽曲について
ゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜 参加曲
昨年つまり2023年のたしか秋頃のこと
Twitter (X)のTLで「ゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜」という投稿祭が2024年1月に開催されることを知りまして...(告知は6月に出ていたらしいですが気づいてなかった)
ツイプラのイベントページ↓に記載のとおり、BPM135以下の速すぎない曲を投稿し合うというお祭りです
ところでこの「ゆっくりボカロ曲投稿祭」今回2回目で前回は2022年12月初旬に開催されたのですがそのときは制作が間に合わず参加できなかったのです
その間に合わなかった曲はこちら↓の「餞のロンド」という曲(2022年12月31日投稿)
【初音ミク】餞のロンド【オリジナル曲】 / Pyxis Rondo (feat. Hatsune Miku) - YouTube
【初音ミク】餞のロンド【オリジナル曲】 - ニコニコ動画
ということもあって今回こそは参加しよう!と決意したのでした
そうしてできたのが今作「星あかりのパヴァーヌ」
なお各サイトの動画説明文にも記載のとおりBPMは90です
歌詞 〜AIとの関わりについてほんのり触れてみた
「ゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜」は上述のBPMに関する規定に加え曲のテーマが夜であることが必須事項となっています
そこで歌詞は冬の夜の海をイメージした描写から始まります
夜の海の色素を吸い上げたかのごとく
空は藍より深く
天上の星は瑠璃色の水面を照らす
冬の海の匂いがする
ただこの「冬の夜の海」というイメージは表層的なものであって実は
「AIとの向き合い方を自分なりに整理してみた」
というのがこの曲の真のテーマです
この2年ほどの間にStable DiffusionやChatGPTに代表されるAIが発展して様々な創作分野にもインパクトを及ぼすようになってきました
仕事や日常生活の中で私もこれらのAIに触れる機会がありますが、それ以前に私自身、本業では長らく機械学習の研究開発に携わり、また博士論文のテーマは統計的言語モデルに関する研究だった…というくらいにはこの分野に関わってきましたので
とそんなこともあり一度AIとの関わりについてふんわりとでも形にしておきたいなと思ったのでした
とはいえ現時点のAIは精巧なツールに過ぎないと思っていて(意識や意志は持たないですし)…なので殊更に畏れたり礼賛したりするつもりもなければ批判するつもりもなくてただそういうものとして受け止めれば良いのかなと思っています
なのでAIに対して特に強い主義主張がこめられているというわけではないです
ちなみに歌詞の中では「言葉の淵」とか「論理の渦」などのフレーズがAIのメタファーとなっています
言葉の淵から繰り出される
答えのようなものが放つ違和感の正体を
ねぇあなたは何て呼ぶのだろう?
論理の渦の向こう側で
今あなたは何が見えてるの?
神は細部に宿る
「神は細部に宿る」という言葉があります
由来は定かではないようなのですが「細部までこだわり抜くことによって神が命を宿したかのごとく完成度が高まる(逆に細部をおろそかにしてはいけない)」という意味で使われます
実用品であれ創作物であれ、大筋では良いものであっても細部の粗が気になると価値が下がってしまうし、創作物の場合は作品にのめり込む気がなくなってしまうものです
どこかで消費されたはずの何かを
謎解きのようにかき集め
適当に折り合いつけてみたところで
そこに神は宿るのだろうか
AIどうこうとは必ずしも関係ないですが作品として世に出すからには誰に気づかれるわけでなくても細かいところまで気を配って完成度を高めたいと常づね思っています
タイトル
これも動画説明文に記載していますが、間奏のメロはラヴェルのピアノ曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」のフレーズを引用しています
穏やかで美しい曲で以前からいつか作品に引用したいと思っていたのが今回実現し、そういったこともあり「星あかりのパヴァーヌ」という曲名にしました
「パヴァーヌ」という言葉自体は歌詞の内容と特に関連があるわけではないのでぶっちゃけ「星あかりの夜」とかでも良かったのですが…(^^);
ちょっと何だろう?と思う言葉が曲名に入っていたほうが印象に残って良いかなという思いもありこのタイトルにしました
楽曲リンク
YouTube
ニコニコ動画
ピアプロ
歌詞
おわりに
今回は「星あかりのパヴァーヌ」という曲が生まれた背景やテーマ・歌詞について紹介しました
サウンド面については別記事であらためて書く予定です
またこの楽曲が参加している「ゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜」についての感想も後日書こうと思っています