7th HopeのBlog〜五線紙のすみっこ〜

おもにボカロ曲・DTMの制作に関することなど

ゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜 個人的振り返り

はじめに

この記事は2024年1月19〜21日にかけて開催されたゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜についてのごく個人的な振り返りです(ツイプラのイベントページはこちら↓)

twipla.jp

 

私自身も星あかりのパヴァーヌという楽曲でこの投稿祭に参加しましたがこの楽曲については下記の記事にいろいろ書いたのでここでは触れません

7th-hope.hatenablog.com

 

ゆっくり限定ではない

この投稿祭はBPM135以下の速すぎない曲を投稿し合うというイベントでした
すなわちゆっくりな曲限定ということではなく、スローテンポ〜ミドルテンポまでかなり間口の広いレギュレーション
この点はイベントのTwitterアカウント名が @middleslowvoca であるところにも現れています

 

総じてハイクオリティ

「ゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜」のタグがついた動画をニコニコ動画YouTubeで確認したところそれぞれ約240曲、約40曲ありました(重複あり; YouTubeではタグをつけてない人もいそうなので実際の投稿数はもっと多いかもしれません)

今回はイベント期間中おもにニコニコ動画を中心に巡回しまして全曲ではないですが9割がた視聴した印象としては「良いな」と思える楽曲が多かったです

BPM=135以下でテーマは夜」という適度に緩いレギュレーションが絶妙に功を奏した結果、各制作者が存分に個性を発揮した作品が集まり、かつ頑張れば全曲視聴も十分可能な規模となった…そんな印象です

個性的で多彩な作品が集まったのはジャンルに関する縛りがないのも大きそうです
スロー〜ミドルテンポ限定とはいえバラード等の壮大な曲が多いということもなく、むしろさまざまなアイデアを3分程度の尺に上手にまとめ上げた作品も目立ちました

これまで接点のなかった方の楽曲も聴けたし自分の楽曲にもまずまず反応いただけたので率直に参加してよかったと思いました
イベントを主催してくださった皆さんにはとても感謝しています

 

界隈の傾向

自作曲を制作して動画サイトに投稿するようになって8年近く経つのですがここ数年おもにニコニコ動画において「○○祭」のような投稿祭が頻繁に行われるようになった印象があります…ちゃんと調べたわけではなく印象ですが

また、VOCALOIDおよびその他合成音声を使ったオリジナル作品の投稿数自体も近年かなり増えています
これは単なる印象ではなく実際、

 ・2012年頃をピークに一旦低下し2017年頃に下げ止まり
 ・その後は再び上昇に転じ2020年には2012年を超え、2022年では2012年の2倍以上

との調査結果があります(出典↓  lefthorseさん)

その一方でニコニコ動画の有料会員数は以前より減少していて[*]「楽曲の投稿数は増えるのにリスナーは減っている」という供給過多の傾向が年々高まっているというのが界隈の共通認識としてあると思います

[*]そもそもボカロ曲はとっくにニコニコ動画の主要コンテンツではないという話もありますが

 

要するに(楽曲が圧倒的に魅力的な才能溢れるごく一部の人を除いては)

 作品を発表してもリスナーが広がらない、まだ聴いてもらったことがない人に届かない

という傾向が強まる一方、という状況です

このような状況の中でイベントと無関係に単発で投稿したところで注目されることは難しいため、少しでも新しい人に聴いてもらう手段のひとつとして投稿祭が活発化しているのでしょう

 

イベントに参加するということ

私自身は、ボカコレはじめ数々のイベントにどんどん参加するのは時間的にも制作能力的にも難しいのですが、一方でイベント等と関係なく完全マイペースで地道に活動するだけでは刺激も進歩もないかなぁとも…元来怠け者なので目標や締め切りがないとなかなか進まないですし

なのでよさそうかなと思えるイベントには可能な範囲で参加しつつ作品のクオリティや制作ノウハウを向上していければと考えています

 

作り手同士で互いに仲間内で聴いて(さらには社交辞令のようにコメントし合って)何になる?

とか

(作り手でない)真のリスナー層に届けることことが重要

といった指摘は一理ありますがそれらは別に今に始まったことでもなく
私もかつてはバンド活動をしてライブハウスに出演させてもらっていましたが見ず知らずのバンドのライブにお金を払ってきてくれるお客さんがそうそういるはずもなく、駆け出しのうちは知り合いのバンド仲間同士での手売りが主体というかほとんどなわけで

ボカコレで上位にランクインするのが目標、そのために相互リスインも頑張る!
というのもそれが励みになるのなら全然否定しませんし
一方でイベントからは距離を置いて地道に活動するのが性に合うという人にとってはそれがベストなのでしょう

業務としてやっているわけではないので最適解は人それぞれです
その人にとって最もモチベーションを保てるやり方が正解であって他人がとやかく言うことではないのかなぁと…考え方の違いを受け入れる寛容さを持ちたいなぁと思っています

 

個人的ピックアップ

最後に、ゆっくりボカロ曲投稿祭2024夜に投稿された楽曲の中でとくに印象に残った曲を12曲挙げます(順不同; だいたい私が聴いた順 ≒ニコニコの投稿順)

他にも良い作品はたくさんあってイベント期間中そこそこ紹介ツイートも流しましたがすべて挙げると膨大になるので断腸の思いで厳選した12曲

あくまで私にとって印象に残ったものなので私の好みが目一杯反映された選曲です

 

(1) 寒い夜 / 江戸川リバ子さん

サウンドのコンセプトが明確で穏やかな心地よい楽曲、チープな音色も効果的
BPM=90

 

(2) LOOP UP / vuefloor & mayoiさん

ギターやスネア/クラップのタイム感が絶妙、揺らぎつつキレがある感じ
BPM=86

 

(3) アナタノナニカ / TAiYAKiさん

めまぐるしく展開しつつも統一感ある、これだけアイデア詰め込んで2分台
BPM=120

 

(4) Rのヒトリゴトあじあさん

ブラスの裏メロとか後半の展開とか好きです
BPM=100

 

(5) 遺作になってもかまわない / 織部リョウさん

ストレートな主張をありのまま表現しつつ楽曲として昇華できてて素晴らしい
BPM=85

 

(6) anemome / 橘レイさん

切なくも美しい作品、2コーラス目の演出も効果的
BPM=80

 

(7) まもなく、 / アカヨウチュウさん

イデアが素晴らしいのに加えてサウンドも良い
BPM=95

 

(8) おとぎ話のように / Tokage 100%さん

やや強引かと思える展開でこれでもかと攻めつつ絶妙に心地よい不思議
BPM=92

 

(9) やさしさにつつまれてくれ / おあがりさん

ファンクのレトロなグルーヴ感をベースとしつつ現代的なアプローチで意表突く
BPM=100

 

(10) 水底にて / obayoheiさん

水底をイメージしたサウンドが綺麗、繊細なアレンジが光る
BPM=74

 

(11) この痛みと、都合のいい嘘に / ロップさん

音の質感が生々しく歌詞&メロともに心に響く
BPM=79

 

(12) Insanity Soundscape / 早坂タカアキさん

サウンドの組み立て・構成・展開あらゆる面にセンス感じる
BPM=80